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2006年 08月 12日

「川崎病は、いま」

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川崎病ってご存知ですか。病気を発見された「川崎富作」医師がこの本の冒頭で述べていらっしゃるように、私も多くの人と同様、「川崎周辺で認定される公害病」かなあという間違った認識しかありませんでした。川崎病は、主に4歳児以下の乳幼児がかかる何らかの病原体による感染症とみられる病気の名称で、発見された川崎先生の名から「川崎病」と名づけられたそうです。

現在は治療法もほぼ確立し、死亡率も激減していますが、未だ原因が解明されていない病気だそうで、平成の今も乳幼児の200人に1人が就学前にかかるそうです。川崎先生はその世界的な業績から、「朝日賞」、「学士院賞」に続いて、今年4月には第1回小児科学会賞を受賞されました。81歳になられた現在も、自ら設立されたNPO法人で、川崎病の原因究明の助成や、無料電話相談などにあたられ、子どもたち、親御さんたちのために奮闘を続けられています。「親の会」のHPもあります。

本書は、日本経済新聞社大阪本社社会部の記者である細川静雄さんと、翻訳家、原信田実さんの2人が、川崎先生に直接何度もインタビューをして、まとめた記録です。細川さんは、大学時代のクラスメイトで、何年か前に同じクラスメイトが癌を患ったときにお見舞いを呼びかけてくれ、再会しました。その友人は残念なことに亡くなったのですが、細川さんの彼に対する真摯な優しい態度に接し、尊敬を覚えました。世界的な業績をあげながらも、現在も孤軍奮闘されている川崎先生のために、新聞記者として何かお手伝いできないかと考えた彼が、先輩と共に本にまとめ出版したと聞き、早速購入して読みました。「川崎病は、いま」_a0035442_0311925.jpg

浅草の下町に育った川崎先生は生来の優等生ではなく、真珠湾攻撃が始まった中学5年のときには、受験勉強にますます嫌悪感が募り、最初の受験に失敗。浪人後、駄目だと思った千葉医大の臨時医専に受かり、お母さんの勧めもあって入学。後に日赤中央病院の小児科医になられたという出だしのエピソードが実に人間味に溢れ、ついつい引き込まれて読んでしまいました。

日赤で外来勤務をこなしながら当直、病棟勤務という激務をこなされる一方、その間を縫って研究を重ねられ、国内外で「川崎病」についての論文を執筆し、学会で発表。国際的にも"Kawasaki Disease"として認知されるようになります。お医者さんというのはこんなに過酷な仕事なのかと驚かされると同時に、医学界の裏も少し垣間見ることができました。

本書は川崎病について専門的なことも書いてありますが、私のような全くの門外漢にも興味を持って読めるように、実に分かりやすくまとめてあります。目を開かされることがいっぱいです。お盆休みに昨日の「ママと踊ったワルツ」と一緒に是非読んで下さればと思います。これも読んで良かったと心から思える本です。amazon.comでも購入できます。細川さん、これからもいい仕事を続けて下さいね。応援しています。
(ところてんをちょっと作ってみました)



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by dabadabax | 2006-08-12 00:43 | 写真、本、音楽


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