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2005年 10月 10日

オーベルジュ・スミ物語

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オーベルジュ・スミ物語_a0035442_2232225.jpg友人の案内で8月にオーベルジュ・スミに連れて行ってもらい、その庭の美しさに目を見張りました。お母様のスミさんがこの美しい庭の世話を一手に引き受けられ、お孫さんとこの7月に10年ぶりにレストランを再開なさったとのこと。今回、友人の別荘の庭のデザインを引き受けられた息子の福川さんが、雑誌に掲載されたオーベルジュジュ・スミのコピーを送ってくださいました。

お父様はもてなしが大好きで多くのお客様を招き、お母様が得意の料理の腕をふるい、高校生の福川さんはお客様に合わせてレコードをかける係りだったとか。お正月、夏休みはひっきりなしで何百人というお客様。大学生になってすぐ、当時1、2ヶ月仕事で海外に行って、外国の友人たちの暖かいもてなしに感激されていたお父様が、ご自分も同じように海外からのお友だちを招いて家族でもてなしたいと考えられたそうです。それで富士山の麓に1000坪の土地を買われ、まず海外のお客様を歓迎するために国旗掲揚台を建設。上のお家の後ろには、晴れた日には富士山が見えるのだそうです。

砂漠のような御殿場の火山台地を庭にするのは本当に大変で、毎週末、家族で土方のように働き、職人の力は少ししか借りず、ほとんで自分たちで造ったのだそうです。チロル風の家も福川さんが設計。プールは手で掘り、潅木は挿し木で、球根や宿根草ももらったものを増やす。そうしてお父様と福川さんが手伝う週末以外は、お母様がずっと世話をしてこの美しさを守り育てられたのだそうです。オーベルジュ・スミ物語_a0035442_1515976.jpg

お父様の退職とともに、お母様の夢だったレストランをオープン。この美しい庭とお母様の料理で大成功となり、予約は半年先までいっぱいだったそうです。この庭のおかげで独学で造園家になられた福川さんは、お母様の料理の生徒でアシスタント。結婚後、子どもたちが東京でてんとう虫を怖がるのをみて、御殿場に引っ越すことを決意され、週末には必ず庭の手入れを一緒にさせたそうです。一生懸命手入れした庭が、台風や天候不順、鳥、虫が台無しにする。その自然の理不尽が子どもたちを育てたのだそうです。

この庭の命である芝生は、一週間に一度必ず刈れば確実に美しさを保てる。芝刈り機で刈れない場所を作らないデザインにすることが楽に芝を管理することだそうで、芝生がうまく育てない場所は、その環境にあった草花を選択。花も非常に多くの種類を試した結果、そこに一番あうものが選ばれているのだそうです。

まだお母様がお元気で手入れをなさっていますが、このもてなしの庭はお母様がもう一つ育てた料理とともに、子どもたちが「人が喜ぶことを喜ぶ」ことができるのなら生き続けるだろう。そしてこの庭がある限り、父も母も行き続けるだろうと福川さんは考えていらっしゃるようです。

6ヶ月というがん告知を受けられたお父様のもとに最後の18ヶ月、多くの方が来られ、改めて多くの知人とのつきあいを育てられたことを知ったそうです。お父様の意思が、この草一つない芝生の庭に生きている、家族をしっかりと支えてくれていると実感なさるとか。建築家としても活躍される福川さんのコンセプトは、「人のために」というところにあるんだと思いました。

そして今、そのお父様のお孫さんがお母様と一緒にレストランを始め、他の子どもさんたちもしっかりと庭の世話をして後を継いでいる。この庭は6月が一番美しいのだそうです。東京から東名で1時間半くらいで行けます。心のこもった美しい庭と美味しい料理を味わいに是非行ってみたいと思われませんか。友人のおかげで素晴らしい人たちに会うことができ、こうしてご紹介できることが嬉しいです。

オーベルジュ・スミ
〒412-0042 静岡県御殿場市萩原1095
TEL: 0550(89)3068  Fax:0550(89)7450

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by dabadabax | 2005-10-10 22:12 | 御殿場&箱根


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